全体的に作りが荒っぽくて雑な印象。特にアクションシーンはCGだか特撮だかの使い方が間違っていると思う。第1回、殷素素が屠龍刀を奪いに来たシーンを見た時には、「しまった。このドラマはハズレだ」と心の中で舌打ちしてしまった。衣装やメイクももうちょっと何とかしてほしい。
小説と映像の違いかもしれないが、ほとんどの謎がその場で明かされてしまうのはいただけない。朱九真らが張無忌を騙すところ、金花婆婆の素顔、最大のミステリーであるはずの周芷若の陰謀など。そのため、どんでん返しの面白さがなくなってしまった。また、周芷若が張無忌に一つだけ言うことをきく約束を取り付けたにもかかわらず、小説の最終シーンはなし。終わったとたん、画面に向かって「ちょっと待てー!」と叫んでしまった私であった。
それでもこんなに面白いんだから、金庸ってすばらしい。
キャストだけはいやに豪華。大陸、台湾、香港、シンガポールから俳優が集まる。若手スター、中堅実力派に加えて、鉄三角こと張国立、張鉄林、王剛が揃って出演しているのには驚いた。もっとも三人はほとんどからまないので、せっかくの豪華メンバーも無駄遣いだ。もしかして出演料で予算を使い果たしてしまったのではないだろうか。(2006年4月)
キャスト
張無忌/張翠山:蘇有朋(アレック・スー)
蘇有朋は張無忌にぴったりはまっていると思う。しかし私が一番気に入ったのは、張翠山の自刎のシーン。さりげなくていかにも止める間がなかった。どうでもいいことかもしれないが、感心した。
周芷若:高圓圓
せっかく大きなきれいな目をしているのに、目の演技がへたくそ。九陰白骨爪を使う時にはメイクが邪悪の女ボス風に変貌。おまけに爪がにゅーっと伸びる。これでは妖怪。原作を知らない人は絶対に誤解する。「九陽真経」は悪魔の書か何かだと。
趙 敏:賈静雯
可もなく不可もなし。言動が原作以上にめちゃくちゃ。という以前に、私はどうも賈静雯という女優に魅力を感じない。人気はあるようだが。ファンの方、ごめんなさい。
圓真(成昆):張国立
ドラマの冒頭、最初にどアップになるのがこの人。悪役を演じる張国立に狂喜したのは私だけか。原作よりも出番が増えているのは張国立だからだろう。
楊 逍:張鉄林
貫禄あって美女に弱い。何だかしょちゅう演じている乾隆帝と似ている。光明頂での楊逍と成昆の対決(?)が、個人的にはこのドラマのクライマックス。
七王爺(安図貼睦爾):王 剛
「鉄三角」をそろえるための無理やりの出演か。わざわざ王剛が演じるほどの役でもなかった。しかし、趙敏のパパをねちねちといびるシーンは本領発揮?
謝 遜:徐錦江(チョイ・ガムコン)
何に驚かされたかって、失明後はなんとひたすら白目をむいて演技している。つらそうで見ているほうが気分が悪くなる。
殷素素:郭妃麗
原作より言動がずいぶんおとなしい。物足りない。
紀暁芙:陶 虹
陶虹はきれいで色っぽかったんだとこのドラマで初めて気づいた。
楊不悔:鮑逸琳
わがまま娘が殷梨亭を愛したことで人間的に成長していく。ちょっと見直した。
小 昭:陳秀麗
ブスメイクがはがれた下にも、派手なメイク。
小無忌:釈小龍
もう子役には大きすぎるけど、釈小龍は相変わらずカワイくてうまかった。
胡青牛:梁 天
梁天を久々に見て嬉しかったが、出番が少なくて残念。
蛛児(殷離):陳莎莎
原作と違って最後まで頭ははっきりしている。4人のヒロインの中で一番まともな娘に見えた。
滅絶師太:厳敏求
やたらと気が短く怒りっぽい。本当に出家の身なのか。原作通りといえばその通りだが。
汝陽王(察罕特穆爾):徳力格爾
趙敏のパパ。王爺にいびられる時の泣きそうな笑顔がチャーミング。
スタッフ
出品人:劉継南、尹廉剣、葉青
総策劃:辺暁軍、呉敦、葉青
総監製:韓俊峰、張璋、劉徳鴻
監 製:司徒源傑、丑述成、羅立平
導 演:楊韜
音楽監製:陳涛
作曲:王備
武打設計:馬玉成
製片主任:馬宝華
総発行人:張璋
総製片人:辺暁軍
主題歌
片頭歌「心愛」 作詞:陳涛/作曲:王備/演唱:金学峰
片尾歌「愛上張無忌」 作詞:陳涛/作曲:許明/演唱:毛阿敏