倭寇退治で有名な戚継光が主人公という珍しさに惹かれて見てしまったが、期待はずれ。九公主の戚継光へのかなわぬ恋がストーリーの中心で、その他、いくつかの恋と、権力闘争、倭寇との戦い、などなど面白くなりそうな要素はいろいろあるのに、あまり噛み合っていない。一つ一つのエピソードがいちいちベタだし、しつこく挿入される回想シーンもドラマを盛り下げる。
北京の街中が江南風で全く北京らしくないのが気になる。どう見ても杭州の街と同じセットでロケしている。それにあのしょぼい池を北海などとは。そして西湖などとはよくも。
ヒロインはじめ女の子たちはみなかわいいが、肝心の戚継光役の焦恩俊、私この人苦手なのだ。このドラマでもなんかイヤ。衣装もかつらもメイクも演技も、つまり何もかも。それなのに、張紀中の「碧血剣」ではなんとこの人が金蛇郎君だ。どうしよう、見るの不安だ……。
倭寇の連中は、期待に違わず、へんな格好の日本人らしからぬ日本人がいっぱい。それでも日本のドラマか映画を見て研究した跡がうかがえるのが、微笑ましい。それにしてもこの倭寇ども、人質をとっておきながら利用することなく捕まるなんて!(2006年7月)
あらすじ
嘉靖帝は不老不死の丹薬作りにうつつをぬかし、政治を厳嵩に任せっ放し。その頃、沿海部が倭寇に荒らされていたが、厳嵩には兵を出す気がない。鄭淑妃と九公主は何度も皇帝に厳嵩を重用すべきでないと諫言するが、とりあってもらえない。九公主は山東で倭寇を討伐した戚継光に憧れていたが、ある日、おしのびの時に、互いの正体を知らぬまま戚継光と親しくなる。やがて厳嵩の企みで、鄭淑妃は死に、九公主は倭寇の王直への降嫁が決まった。九公主のたっての願いで、戚継光が九公主を送る使者となる。
登場人物&キャスト
戚継光:焦恩俊
倭寇退治でちょっとしたヒーローになっているが、北京へ復命に来たまま足止めをくらっている。実在の戚継光は1528~1587。
九公主:楊旻娜
嘉靖帝の愛娘。母は鄭淑妃。才色兼備で、常にお国のためを考えている立派なお姫さま。
嘉靖皇帝:張鉄林
ただのバカ皇帝。張鉄林よ、いくら皇帝役だからって、なぜこんなドラマに出たのだ。
徐 階:王詩槐(友情主演)
厳嵩に対抗している忠臣。1494~1574。
錦 繍:車永莉
倭寇討伐を主張して厳嵩に陥れられ処刑された忠臣・張経の娘。九公主と鄭淑妃に救われ、九死に一生を得る。九公主の江南行きにも同行し協力する。
葉 子:楊心藝
父が神戸幕府(!)の役人だったが、明に使者としてきた時に倭寇に身を落とした。父を戚継光に殺され、仇討ちを考えている。
小 珂:宋文娟
九公主おつきの宮女。
厳 嵩:戈 輝
奸臣。倭寇対策はそっちのけで私服を肥やす。1480~1567。
厳世藩:王全有
厳嵩の息子。父親と二人三脚。
道 義:于 軍
鄭淑妃の昔の恋人で李生といった。今は出家の身で杭州の寺にいる。
鄭淑妃:方暁莉
杭州出身。厳嵩の美女狩りにひっかかり、恋人と別れて泣く泣く後宮入りし、寵妃となった。厳嵩の企みで失寵、病死する。
厳 鴻:王九勝
厳世藩の息子。錦繍に片思いしている。
常 威:劉立偉
戚継光の副将。
スタッフ
出品人:馮済府、楊志毅、蔡永瑞
総監製:章卡鵬、王建
監 製:応麗娟、徐佳倫、蒋新建
策 劃:安萍、蔡永瑞、陸康、趙磊
文学策劃:王宵夫
編 劇:李暁偉、林君
撮 像:李志毅、葛延松
美術設計:李龍江
作 曲:姚杰軍
導 演:高軍
製片人:金良言、姚為宏
発行人:劉静
総製片人:蒋衛崗
主題歌
作詞:張海寧/作曲:劉沁/編曲:劉鋭
片頭歌「人生在世」 演唱:羅中旭
片尾歌「情未了」 演唱:金海心