またも「鉄三角」のコメディ時代劇。「鉄歯銅牙紀暁嵐」シリーズなどの乾隆が当たり役の張鉄林、「宰相劉羅鍋」の乾隆や「康煕微服私訪記」の康煕を演じる張国立、この二人の皇帝役者が片や乾隆、片やニセ乾隆を演じ、さらに王剛がいつものように和珅を演じるという、実にあざとい企画。そしてやっぱり面白い。(左の画像はタイトルバック。あざとさ全開だ。)
三人の芸は相変わらず冴えていて、無条件に楽しめる。しかし今回は、何と言っても張国立が一番だと思う。張鉄林と王剛は「いつもと同じ」せいで割りを食ったかもしれないが、張国立演じるキャラの面白さは群を抜いている。張国立と鄧婕の夫婦漫才も楽しい。
ニセ乾隆こと「洪立」と乾隆の名の「弘暦」は、中国語で同音である。かつて中国では目上の人の名を直接口にしたり書いたりするのは無礼とされていた。皇帝の名はもうタブーである。しかし乾隆の前で、大声で洪立の名が呼ばれたりするものだから、もうそれだけで可笑しい。劉羅鍋や紀暁嵐の名が出てくるなど、ほとんど内輪ギャグもあり。
官僚や役人どもの醜い言動もいつものように多々描かれるが、全体ではむしろ人情話がメインだ。そして隠れテーマは、皇帝の人知れぬ苦労。乾隆は気心の知れた洪立夫婦にだけは、誰にも言えない愚痴をもらす。「皇帝って贅沢しているだけじゃなかったんだ。大変な苦労をしているんだなあ」と二人は本気で同情し、だからこそ乾隆に協力する気にもなる。深読みすれば、現在の為政者にも同じように真面目に仕事してほしいということなのだろうか。(2006年7月)
※VCD、DVDタイトルは「双龍会」。
あらすじ
第1話(第1集~第11集の途中)
刺客・楚天鷹に襲われた乾隆は、偶然居合わせた洪立が身替りになったおかげで難を逃れる。洪立はその後も影武者をするハメになり、皇帝の南巡の身替りも勤める。揚州には一足先にお忍びで出発した乾隆、あきらめずに乾隆を狙う楚天鷹のほか、天鷹に「揚州に行けば生い立ちが分かる」と言われた和珅の娘・蜻蜓もやって来る。天鷹は乾隆を母の仇だと言うが、乾隆は身に覚えがない。
第2話(第11集の途中~第17集の途中)
「皇帝十大罪」というビラが北京の街に張り出される。和珅は、自分を弾劾しようとした揚州の孫家淦をビラの作者だとして逮捕させる。乾隆は調査のため和珅を揚州へ派遣、洪立夫婦も同行させる。しかも洪立の妻・大梅に皇帝の妹としての身分を与えた。孫家淦の娘・春児は父を救出しようとしていたが、お忍びでやって来た乾隆と出会う。春児は乾隆を信頼し、乾隆は洪立に指示を出して事実を探ろうとする。
第3話(第17集の途中~第23集)
乾隆は揚州でのお忍びの途中に倒れ、扇子屋の娘・葉憐花に治療してもらう。そこで目にした一本の扇子に、その持ち主の太医が、ある事件にからんで逃走したことを思い出す。乾隆は和珅に調査を命令し、洪立にも探りを入れさせる。憐花は驚異的な医術の知識を持ちながらそれを隠していた。洪立は憐花をかばって乾隆に真実を告げず、ともに水害地域の病人の治療にあたるなどしてますます親しくなるが……。
第4話(第24集~第30集)
乾隆は「明史」の草稿を見て、袁崇煥を称える文章に激怒。袁崇煥の名誉回復を望む子孫・袁忠正から賄賂を受けていた和珅は、文章を書いた編集員・章井発を口封じに消してしまう。しかし不審に思った乾隆はひそかに調査に乗り出す。袁忠正も和珅の屋敷から行方不明になり、娘の袁明英が捜し始めるが、やがて大梅を乾隆の愛人だと誤解して家に入り込む。
登場人物&キャスト
乾 隆:張鉄林 | |
洪 立:張国立 | |
和 珅:王 剛 | |
大 梅:鄧 婕 | |
小 黒:趙 亮(左)/小 白:陳小藝(右) | |
劉 全:張春年 | |
太 后:厳敏求 |
楚天鷹:劉子尉 | |
蜻 蜓:賈静雯 | |
宋文龍:何金龍 | |
秦公公:楊洪涛 |
孫家淦:薄貫君 | |
春 児:蒋 靖 | |
李歩韜:繆 良 |
葉憐花:楊若兮 | |
趙 嬸:李文玲 |
袁明英:呉辰君 | |
老義士:韓景明 |