宅門逆子

全24集/2001年

  三十年代初めの北京が舞台。富豪の息子が相声(漫才のような芸能)芸人になり、やがて名人となるまでの波乱(ちょっと大げさ)の半生。「逆子」とは親不幸者、親に逆らう子の意。芸人は卑しいものとされていた時代、金持ちのお坊ちゃまが相声芸人になるのは、はたから見れば「身を落とす」という感じだ。そこへ敵の罠や、恋の三角関係がからむ。
 同じ郭宝昌監督の「大宅門」に感激した後だったので、「宅門」の二文字につられてつい見てしまった。が、全体的に可もなく不可もない地味な印象。つまらないと言っては言いすぎだが、面白いとは決して言えない。相声の場面はたくさんあり、芸人たちの世界が主な舞台であるにもかかわらず、物語に「相声」である必然性があまり感じられないのが痛い。主人公に才能はあったのだろうが、修業の描写もあまりないまま人気者になったのも物足りない。芸道ものを期待した私が間違っていたのか。
 郭宝昌自身、主人公の師匠役で出演し、こちらはさすがの貫禄である。しかし主人公をはじめとする主要登場人物たちにあまり魅力が感じられず、ドラマに感情移入できない理由の一つになっている。脇役の、小悪党というのも愚かしい王六(石小満)、王宝信(趙毅)という小人父子が、物語的には嫌いだが、うまくて一番印象に残った。(2006年9月)

あらすじ
 金持ちの次男の謝益亭は相声に夢中で、一族の恥扱い。張素馨はそんな益亭を密かに慕っているが、益亭は芸人一座「徳燕班」の唱大鼓の芸人・白牡丹と相思相愛。ある時、益亭は謝家と代々の仇である楊鳳梅の怒りを買い、楊の企みで謝家は没落、父は憤死する。兄に家を追い出された益亭は相声名人の開口楽に弟子入りする。楊鳳梅夫妻とつるんだヤクザの袁貴は張素馨を無理やり妻にし、人気芸人となった益亭に楊鳳梅と袁貴はしつこく嫌がらせをしてくる。やがて時代は日中戦争へと……。

登場人物&キャスト
謝益亭:佟瑞欣
 金持ちのお坊ちゃまだったが、家が没落し、大好きな相声芸人に弟子入り。芸名は宝忠。やがて人気芸人になるが、楊鳳梅と袁貴の嫌がらせに悩まされる。

張素馨:陳 好
 謝益亭に片思いをしている。いやいや袁貴に嫁ぐが、益亭を忘れられず、次第に夫の立場を利用して益亭にちょっかいをかける不愉快な女に変身。

開口楽:郭宝昌
 芸人一座「徳燕班」の相声の名人。謝益亭の師匠。

楊鳳梅:李 萍
 謝家を恨み、謝家を没落させ、謝益亭をつぶそうとさまざまな嫌がらせをする。

白牡丹:丁 怡
 「徳燕班」の唱大鼓の芸人。謝益亭と恋仲。

袁 貴:章 中
 やくざ者だったが楊鳳梅夫婦の片腕となり、謝益亭つぶしに協力。

高伯太:張心勇
 楊鳳梅の夫。裏稼業もやっているに違いない実業家。

王 六:石小満
 「徳燕班」が出演する劇場の人間。息子の宝信とともに高楊夫婦の手下になる。

王宝信:趙 毅
 王六の息子で謝益亭の兄弟子。謝益亭に嫉妬していて、父親とともにちょろちょろと悪事を行う。

老座鐘:魯継先
 開口楽の仲間の相声名人。

スタッフ
総導演:郭宝昌
導 演:朱徳承

主題歌
片尾歌「千万別白活」  作曲:王立平

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