新七侠五義

全40集/1994年

 この物語を知って以来、一つ疑問があった。展昭のあだ名の「御猫」は「かっこいい呼び名なのか?」。これに答えてくれたのがこのドラマだった。
 展昭の武術を賞賛しようとした仁宗、「まるで……」と言いかけて、言葉につまる。そこへ耳打ちする悪役・龐太師。うなづいた仁宗、「まるで朕の御猫のようじゃ!」。いや~な顔をする展昭と包公……。
 このシーンのおかげで、現代中国人にとっても「御猫」はかっこよくないらしいことが分かった。
 それはともかく、「三(七)侠五義」ものドラマはいろいろあるが、本作は私の知る限りでは比較的原作の雰囲気を伝えている(それでもやっぱり原作と全然違う)。
 冒頭はなんと展昭と丁月華の婚礼。確認したわけではないが、この二人が結婚している映像作品は後にも先にもこのドラマだけではないか。白玉堂は丁夫人の甥という設定で、無実の罪で死んだ父の仇を探していた。白玉堂の恋人は丁月華の妹・月影。丁氏双侠を姉妹に変更したらしい。
 次に出てくるのが、顔仁敏(『三侠五義』では顔査散、『七侠五義』では顔春敏)と雨墨。乞食に変装した白玉堂とのやりとり、義兄弟になり、殺人の濡れ衣を着せられた顔仁敏を白玉堂が救う、という一連の物語が映像化されているのはうれしい。北侠・欧陽春、黒妖狐・智化、小侠・艾虎、花胡蝶・花冲など、他のドラマで見たことのないキャラも登場する。オリジナルキャラの襄陽王の娘は、はっきり言って邪魔(でもトップヒロインだったかな)。しかしひどいことに、主要キャラが後半どんどん死んでいく! 
 主役は白玉堂で、演じるのは許鞍華(アン・ホイ)監督の映画「書剣恩仇録」で陳家洛を演じた張多福。その他、武術指導など裏方に回る人たちが出演している渋いドラマらしいが、アクションはかなりへぼく見えたので、当時の大陸のアクションはまだその程度の水準だったのだろう。
 低予算なのか、皇宮や龐太師の屋敷がいやに質素。そもそも全体的にストーリーやディティールが荒っぽくて穴だらけ。演技も演出も古臭い。「面白いか」と聞かれれば、「見なくていい」と答えます。でもなぜか好きだ~!また見たい。(2006年8月)

登場人物&キャスト
錦毛鼠・白玉堂:張多福    白塗りメイクに時代を感じます。

南 侠・展 昭:寇占文    史上もっともブサイクな展昭ではないだろうか。

凌波仙子・彩 侠:孔 琳    襄陽王の娘。なぜか侠客ぶって一人旅。白玉堂に片思い。

玉玲瓏・丁月影:董暁燕    丁月影の妹で白玉堂の恋人。顔は可愛いが歯並びが悪いのが気になった。

翻江鼠・蒋 平:范冬雨/穿山鼠・徐 慶:許立軍/鑽天鼠・盧 方:王全友/徹地鼠・韓 彰:張 輝
  五鼠の兄弟順は盧方、韓彰、徐慶、蒋平、白玉堂だが、劇中では徐慶と蒋平が入れ替わっていた。蒋平の范冬雨は武打設計を兼ねる。

北 侠・王陽春:張玉海    原作のエピソードが一つ映像化されていたが、他の出番は記憶にない。

顔仁敏:邵 峰    世間知らずの文弱青年が、科挙に合格して役人に、やがて襄陽王と対決するほどに成長。

柳金嬋:鄒 雪    顔仁敏の許婚。事件を経てめでたく顔仁敏に嫁ぐが。

包 公:張彦春    黒塗りメイクも額に三日月もない普通のおじさん。

襄陽王・張 玉:張沢仁    帝位を狙う皇族。

花胡蝶・花 冲:李 強    にきび面の気のいい兄ちゃん風。恋人の嬌嬌の尻にしかれている。

嬌 嬌:王 琛    襄陽王府の侍女。

花花太歳・趙 浪:馮 雷    襄陽王のドラ息子。

丁夫人:李文玲    丁氏姉妹の母。白玉堂の母の姉妹。

冷芙蓉・丁月華:馬 雯    展昭の妻。出番はあまりない。原作のエピソードも妹に取られているし。

小鉄嘴・雨 墨:斉 冰    顔仁敏の下僕。しっかり者の少年。

小 侠・艾 虎:周 朴    智化の養子。

黒妖狐・智 化:張春仲    張春仲も武打設計師。「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ3~天地争覇」にちらっと出演していた。

太 師・龐 吉:龔占海    包公の政敵。

仁 宗:張武生    バカ皇帝っぽい。

小 喜:于 涛    白玉堂を慕う少年。白玉堂の父の仇の一族だったかな?

公孫策:曾 革    いつもどおり、包公のいるところ必ずいる。

スタッフ
編 審:張和平
総監・策劃:王小勇
総編劇:馬軍驤(1~8)、黄丹(9~11)、秦培春(鋼線)
美 術:黄術、馬大川
武打設計:范冬雨
撮 像:李暁青、楊燕娣
製作主任:薛飛、趙暁民
導 演:蕭風、秦競虹
作 詞:張和平
作 曲:王小勇

主題歌
片頭歌「種豆不得瓜」   演唱:尹相杰
片尾歌「人間自有真情在」   演唱:白雪

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