天龍八部

全40集/2004年

 「笑傲江湖」「射鵰英雄伝」に続いて張紀中が制作した金庸大作。ますますレベルアップ、かつスケールアップして、視聴率も金庸ファンの評判も上々だ。私もどっぷりはまって夢中で見てしまい、終わった時には「これから何を楽しみに生きていこうか」とまで思った(バカです)。
 原作との最大の違いは、原作は段誉に始まり段誉に終わるが、ドラマでは喬峰(蕭峰)に始まり喬峰で終わることか。そのために途中で明かされる雁門の戦いが冒頭にきて、ラストの順序も入れ替わってしまった。賛否両論ありそうだが、中国人はやはり喬峰が好きなのかと納得。
 喬峰役の胡軍は、「藍宇」をまだ見ていない私にとって「東宮西宮」以来の再会だったが、正直ここまでやるとは思わなかった。このドラマの成功以来、人気にますます火がついたようでめでたい。段誉の林志穎(ジミー・リン)、虚竹の高虎もそれぞれ上々の出来。修慶が演じる慕容復は、原作でも思い切り肩透かしだったが、ドラマではますますセコい小者。扱いようによっては面白くなるキャラだと思うのだが。そのうえ修慶を見ているとどうしても「射鵰英雄伝」を思い出してしまい、いくらカッコつけても「ふん、しょせん欧陽克のくせに」などと思ってしまうのだった。意外に当たりだったのが、計春華演じる段延慶。ノリノリの怪演である。楽しすぎる。気がつくと、この人が出てくると思わず喜んでいる私がいた。
 女性陣は美女揃いで目の保養だ。王語嫣の劉亦菲は、演技に不安があったがなかなか頑張っている。初々しさが浮世離れしたキャラとうまく噛み合ったか。何より文句のつけようがない美少女。私のお気に入りは、天山童姥という難役に挑んだ舒暢。演技派女優になりそうなので将来を見守りたい。
 ただ、馬夫人役の鍾麗緹(クリスティ・チョン)にだけはがっかりさせられた。鳴り物入りの出演だったのに。こんなこと言いたくないがはっきり言わせてもらうと、お肌たるんでます。役作りにも疑問を感じる。喬峰にいきなり抱きつくわ、夫をどなりつけるわ、最初から言動があからさますぎる。原作ではこんな女じゃなかったはず。見ていてイライラした。
 最後の場面、ここはただの山道ではなく、雁門関があるはずではないか。しかもすぐ近くにいるはずの軍隊は原っぱにいる。小さいことかもしれないが、喬峰ファンとしては気合を入れてこの最大のクライマックスの鑑賞に臨んだのだ。より完璧を求めたとしても(ないものねだりとも言う)バチは当たるまい。
 CGを多用したアクションは、それなりに面白い時もあるがあまり私の趣味ではない。個人の好みの問題だとは思うが、このドラマに限らず「マトリックス」や「HERO」の悪影響からそろそろ抜け出してもらいたいものだ。また、音楽に統一感がないのがちょっと残念だ。(2006年4月)

キャスト
喬峰(蕭峰):胡 軍/段 誉:林志穎(ジミー・リン)/虚 竹:高 虎/慕容復:修 慶/王語嫣:劉亦菲/阿 朱:劉 涛/阿 紫:陳 好/木婉清:蒋 欣/鍾 霊:楊 蕊/段正淳:湯鎮宗/康敏(馬夫人):鍾麗緹(クリスティ・チョン)/刀白鳳:高 遠/王夫人:王璐瑶/甘宝宝:阮丹寧/秦紅棉:彭 丹/阮星竹:李勇勇/丁春秋:申軍誼/段延慶:計春華/葉二娘:石 蘭/南海鰐神:李 彧/雲中鶴:高 照/鳩摩智:巴 音/巴天石:劉立偉/朱丹臣:任澤巍/褚万里:張衡平/天山童姥:舒 暢/李秋水:謝雨欣/蕭遠山:張 謙/慕容博:任 舞/耶律洪基:鄂不斯/完顔阿骨打:孫蛟龍/逍遥子:許還山/蘇星河:劉仲元/鐘万仇:魏宗万/玄 慈:楊念生/汪剣通:張紀中 ほか

スタッフ
出品人:遅旭[日羲] 、姚旭東
総監製:蒲木、王鵬挙、周莉
総策劃:袁暁波、李乃光
技術監製:鄭暁樺、尚徳学
総製作人:張紀中
編劇:陳逸星、白一CONG、孫鋒、戴明宇
総美術:宋洪栄
主題歌作曲:趙季平
作詞:林夕
製片主任:楊念生、闕新、黄武成
撮像:沈星浩、葉志偉、張振東、呉家凱、梅剛
動作導演:趙箭、元彬
導演:周暁文、鞠亮、于敏、趙箭

主題曲
主題曲: 作曲、編曲:陳彤
片尾歌:「寛恕」  作詞:林夕/作曲:趙季平/編曲:陳[丹彡]/演唱:王菲(フェイ・ウォン)
挿入歌:「我真我愛」  作詞:張軻軍/作曲:趙季平/演唱:譚維維
      「仰望」  作詞:謝雨欣/作曲:菊地圭介/演唱:謝雨欣
      「蓮美人」  作詞:陳涛/作曲:方瑛/演唱:湯[火山]
      「山川情歌」  詞曲:趙大地/演唱:湘女、趙大地

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