唐明皇

全40集/1993年

 唐の玄宗の生涯を描く大河ドラマ。最近もずいぶん作られる皇帝ドラマの先駆けといえる作品らしい。即位前の青年時代から、クーデター、太平公主との政争に勝利して皇帝としての地位を固め、唐の最盛期を導きながら、やがて楊貴妃を寵愛し、安禄山の乱を経た晩年までを著名エピソードをしっかりと押さえつつ描く。
 出演者は、主演の劉威をはじめとして実力者が揃う。しかし私の印象に残ったのは女性陣で、前半では武則天(朱琳)、太平公主(厳敏求)がさすがの貫禄。楊貴妃(林芳兵)は、スチールを見るとそうでもないが、実際にドラマで見た時には本当に美しいと思った。人物描写もきちんとされていたと思う。映画「楊貴妃」で楊貴妃を演じた周潔が、玄宗の側室役で出演していたのが、なにやら物悲しい気がした。(どちらの撮影が先だったっけ?)
 その他、李白(石維堅)が宮廷の宴に呼び出されるエピソードなんかもしっかりあった。阿倍仲麻呂もちらりと出てきたような。
 実は、最終2話を見ていないのだが、玄宗を演じる劉威は晩年の演技の評価が高いようなので、大変残念。しかも、楊貴妃がいよいよ首を吊るところだったのに。
 昔の歴史ドラマでは、宴の場面などに挿入される踊りのシーンが面白くもないのに延々と続いて退屈だったものだが、この作品では、さすがに玄宗が音楽のプロ、楊貴妃もダンスの名手だけあって、音楽や舞踊のシーンには力が入っていた。楊貴妃が池のほとりの舞台で踊るシーンは、本物の華清池でロケしていたと思う。衣装やセットなども、当時としてはたいへん豪華。無錫の唐城はこのドラマのために建設されたのではなかったか。(映画のためだったか? どちらもここでロケしている。)以前は唐城のシンボルともいうべき巨大水車(人力で水車を回して水を汲み上げ、建物の屋根から水を流すという冷房システム)を他のドラマでもちょくちょく見かけたものだが、その後どんどん巨大オープンセットが造られたせいで、唐城はすっかり影が薄くなってしまった。オープニングの映像が、ドラマの進展に合わせて2~3度変わったのはめずらしい。(2006年11月)

キャスト
李隆基:
劉 威/武則天:朱 琳/太平公主:厳敏求/武恵妃:李建群/楊貴妃:林芳兵/高力士:李如平/李林甫:婁際成/楊国忠:高蘭村/安禄山:顔彼得

スタッフ
監 製:張天民
編 劇:張弦、葉楠、曹惠、劉臣中
導 演:陳家林
撮 像:杜信、董覚、楊凱
美 術:靳喜武、路奇、趙君
作 曲:姚盛昌
製片人:靳雨生

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