人気作の続編。当然、衣装、セット、アクションなどが前作よりアップ。多くのパートⅡ同様、ドラマの内容がアップしたかは別問題だが。冒頭ではいきなり、日本の天皇が宋の皇帝に朝貢する宝刀(んなアホな)を奪う怪しい武士と、通りかかって宝刀を奪い返そうとする展昭の戦い。おお、今回は(あやしい)日本人が出てくるのか!と期待させといて、それっきり。ただ展昭のアクションを見せるためだけのシーンだった! しかし、最初のうちこそあれは何だったんだよ~と不満に思ったが、ドラマ自体が相変わらず楽しいのでどうでもよくなってしまった。
主役の包拯は周杰から陸毅に交替、公孫策の任泉と展昭の釈小龍の続投は嬉しい限り。その他のキャラは総入れ替えで、仁宗は佟大為になり出番も増えた。遼へ使者として出かけて留守の八賢王(陳道明)に代わって登場するのが三廉王(劉威)。龐太師も南方を視察中で、代わりの悪役は襄陽王だがちょっと役者不足か。包拯の母と凌楚楚は各地を漫遊中で登場せず、新ヒロインの小蜻蜓は范冰冰。公孫策のお相手・陸湘湘を演じるのは李卉(『少林サッカー』でバナナの皮にすべって転んだ娘)。龐飛燕は何の断りもなく出てこない。
嬉しいのは、展昭と公孫策とともに包公の傍らに欠かせない王朝、馬漢、張龍、趙虎との出会いが描かれていることだ。四人のキャラがちゃんと描き分けられていて、実は、四人の区別がついたのはこのドラマが初めてだった。王朝と馬漢の大真面目なやりとりがかえって可笑しみを醸し出し、対照的に三枚目路線の張龍、趙虎のコミカルな掛け合いに笑える。この四人の出番が楽しみだった。
物語はパートⅠから1年以上が過ぎているという設定。再び上京して事件を解決した包拯は、県令になり官途に踏み出す。包拯と公孫策の友情、小蜻蜓の秘密、王馬張趙との出会いから包拯に従うまでのいきさつなどがドラマ全体の縦糸になり、一つの物語の中でいくつも起こる事件を横糸に物語が展開していく。今回は推理自体の面白さより、事件にいたるまでの人間ドラマが強調されているようで、その分回想シーンが増えているのがテンポを落としているか。前作とちょっと雰囲気が変わり、人情ドラマの面が強くなっている気がする。
シリーズはこれで打ち止めだと信じていたが、昨年になってパートⅢが製作された。見るべきか見ざるべきか、悩み中。(2006年11月)
あらすじ
[英雄本色](第1集~第9集)
黄河の堤防が決壊した。原因は工事費の横流しと睨んだ三廉王は調査を進言。関係者が殺され、仁宗は包拯を廬州から呼び出し捜査を命じる。包拯は公孫策、展昭とともに調査に乗り出すが、奸臣どもが妨害しようとする。
[義薄雲天](第10集~第16集)
包拯は皇帝に願い出て定遠県の県令となる。赴任した包拯らは、10年前の殺人事件の再捜査を始めるが、犯人は全く口をきかない。そして呼び出された関係者が次々と姿を消す。
[蔵龍臥虎](第17集~第24集)
包拯の留守中、寺を参拝する包拯の命を狙う計画があることを知った公孫策ら。事前に寺に泊まりこみ刺客探しを始めるが、泊り客はみな怪しげに見える。そして展昭が何者かの毒にあたって重態に陥ってしまう。
[偸天換日](第25集~第30集)
小蜻蜓は高名な画家・馮止水の屋敷に、行方不明になっていた娘だと偽って潜り込む。目的は、6年前に姿を消した義父の手がかりを探すことだった。屋敷には何やら秘密があるらしい。
[石破天驚](第31集~第35集)
旅の途中、ケガをした少女を救った展昭。何者かに追われる少女を助けるうち、ある部族内の争いに巻き込まれる。……そろそろネタ切れ感が漂ってきた。
[天羅地網](第36集~第40集)
帝位を狙う襄陽王は、仁宗をそっくりさんとすりかえ、本物に鉄の仮面をかぶせて人知れず処刑しようとする。……鉄仮面、というよりディカプリオの「仮面の男」をパクったのだろう。いよいよネタ切れか。
登場人物&キャスト
包 拯:陸 毅 | |
公孫策:任 泉 | |
展 昭:釈小龍 | |
小蜻蜓:范冰冰 | |
陸湘湘:李 卉 | |
仁 宗:佟大為 | |
三廉王:劉 威 | |
王 朝:劉 虎 | |
馬 漢:姚 健 | |
張 龍:姚立群 | |
趙 虎:李 飛 | |
襄陽王:白楽安 | |
花公公(花富):公放敏 |