少年包青天Ⅱ

全40集/2001年

 人気作の続編。当然、衣装、セット、アクションなどが前作よりアップ。多くのパートⅡ同様、ドラマの内容がアップしたかは別問題だが。冒頭ではいきなり、日本の天皇が宋の皇帝に朝貢する宝刀(んなアホな)を奪う怪しい武士と、通りかかって宝刀を奪い返そうとする展昭の戦い。おお、今回は(あやしい)日本人が出てくるのか!と期待させといて、それっきり。ただ展昭のアクションを見せるためだけのシーンだった! しかし、最初のうちこそあれは何だったんだよ~と不満に思ったが、ドラマ自体が相変わらず楽しいのでどうでもよくなってしまった。
 主役の包拯は周杰から陸毅に交替、公孫策の任泉と展昭の釈小龍の続投は嬉しい限り。その他のキャラは総入れ替えで、仁宗は佟大為になり出番も増えた。遼へ使者として出かけて留守の八賢王(陳道明)に代わって登場するのが三廉王(劉威)。龐太師も南方を視察中で、代わりの悪役は襄陽王だがちょっと役者不足か。包拯の母と凌楚楚は各地を漫遊中で登場せず、新ヒロインの小蜻蜓は范冰冰。公孫策のお相手・陸湘湘を演じるのは李卉(『少林サッカー』でバナナの皮にすべって転んだ娘)。龐飛燕は何の断りもなく出てこない。
 嬉しいのは、展昭と公孫策とともに包公の傍らに欠かせない王朝、馬漢、張龍、趙虎との出会いが描かれていることだ。四人のキャラがちゃんと描き分けられていて、実は、四人の区別がついたのはこのドラマが初めてだった。王朝と馬漢の大真面目なやりとりがかえって可笑しみを醸し出し、対照的に三枚目路線の張龍、趙虎のコミカルな掛け合いに笑える。この四人の出番が楽しみだった。
 物語はパートⅠから1年以上が過ぎているという設定。再び上京して事件を解決した包拯は、県令になり官途に踏み出す。包拯と公孫策の友情、小蜻蜓の秘密、王馬張趙との出会いから包拯に従うまでのいきさつなどがドラマ全体の縦糸になり、一つの物語の中でいくつも起こる事件を横糸に物語が展開していく。今回は推理自体の面白さより、事件にいたるまでの人間ドラマが強調されているようで、その分回想シーンが増えているのがテンポを落としているか。前作とちょっと雰囲気が変わり、人情ドラマの面が強くなっている気がする。
 シリーズはこれで打ち止めだと信じていたが、昨年になってパートⅢが製作された。見るべきか見ざるべきか、悩み中。(2006年11月)

あらすじ
[英雄本色](第1集~第9集)
 黄河の堤防が決壊した。原因は工事費の横流しと睨んだ三廉王は調査を進言。関係者が殺され、仁宗は包拯を廬州から呼び出し捜査を命じる。包拯は公孫策、展昭とともに調査に乗り出すが、奸臣どもが妨害しようとする。

[義薄雲天](第10集~第16集)
 包拯は皇帝に願い出て定遠県の県令となる。赴任した包拯らは、10年前の殺人事件の再捜査を始めるが、犯人は全く口をきかない。そして呼び出された関係者が次々と姿を消す。

[蔵龍臥虎](第17集~第24集)
 包拯の留守中、寺を参拝する包拯の命を狙う計画があることを知った公孫策ら。事前に寺に泊まりこみ刺客探しを始めるが、泊り客はみな怪しげに見える。そして展昭が何者かの毒にあたって重態に陥ってしまう。

[偸天換日](第25集~第30集)
 小蜻蜓は高名な画家・馮止水の屋敷に、行方不明になっていた娘だと偽って潜り込む。目的は、6年前に姿を消した義父の手がかりを探すことだった。屋敷には何やら秘密があるらしい。

[石破天驚](第31集~第35集)
 旅の途中、ケガをした少女を救った展昭。何者かに追われる少女を助けるうち、ある部族内の争いに巻き込まれる。……そろそろネタ切れ感が漂ってきた。

[天羅地網](第36集~第40集)
 帝位を狙う襄陽王は、仁宗をそっくりさんとすりかえ、本物に鉄の仮面をかぶせて人知れず処刑しようとする。……鉄仮面、というよりディカプリオの「仮面の男」をパクったのだろう。いよいよネタ切れか。

登場人物&キャスト

包 拯:陸 毅
 廬州の山前鎮で教師をしていた。何かにつけて「母に聞いた」知識を披露し、相変わらずマザコンぶりを発揮。検死も自分でかなりできるようになった。皇帝に呼び出されて汚職事件の捜査する際、免死金牌を与えられた。2話以降、定遠県(現在の安徽省)の県令となるが、他所の事件の捜査ばかりで、仕事をちゃんとしているのか心配になる。

公孫策:任 泉
 医書を読みあさり、包夫人に代わって検死のプロに。1話では、病のため自分が間もなく失明すると知り、包拯を出し抜こうとする。失明後、再び包拯の元に戻り、主簿として定遠県に同行。盲目ながらも相変わらずの博識ぶりで包拯の片腕となる。もちろん、目は都合よく治る。許婚の陸湘湘が鬼門。

展 昭:釈小龍
 相国寺には戻らず、ずっと包拯らと行動をともにしている。アクションはますます冴えて、仁宗に「御猫」こと御前護衛に封じられ、禁軍を動かす令牌を与えられた。釈小龍くんは相変わらず可愛い。パートⅠよりかなり背が伸びました。

小蜻蜓:范冰冰
 三廉王が若い頃蘇州で出合った民間の女性との間に生まれた娘。本名は天官。7歳で母を亡くしてからは、一人で世間を渡り歩いてきた。軽功とスリの腕前はなかなかのもの。ひねくれた性格のようだが、心根は良い。ファッションが奇天烈なのが気になる。

陸湘湘:李 卉
 裕福な米商人の娘で、公孫策の許婚。やたらと気が強いうえ素直じゃないので、公孫策にはひたすらケンカ腰。彼女も衣装と髪飾りがへんてこで、気の毒。

仁 宗:佟大為
 パートⅠよりずいぶん強気(龐太師がいないから?)。お忍びやら、金牌令牌の乱発やら、皇帝生活をエンジョイしている模様。最終話では一人二役の活躍。

三廉王:劉 威
 仁宗の伯父だろうか? 小蜻蜓の実父。忠義と清廉ぶりで有名らしいが、身分の割にフットワークが軽い。包拯を気に入って協力的。

王 朝:劉 虎
 くそ真面目な熱血漢で、力持ち。濡れ衣で流刑になる義弟の馬漢を救おうとして二人して死刑判決を受けたところを、包拯の再捜査によって救われた。その後、馬漢とともに命の恩人の包拯に従う。

馬 漢:姚 健
 王朝の義弟。強姦、強奪事件の犯人と誤解されていたが、包拯に冤罪を晴らしてもらった。義兄としっかり者の母親の薫陶よろしく真面目だが、ちょっと気が弱いところも。母に促されて、王朝とともに包拯の元へ。

張 龍:姚立群
 故郷の村に妻と娘を置いて2年以上、趙虎とともに江湖を渡り歩いていた。二人そろって、ちょっと間抜けでお人よし。小蜻蜓に出会ったのが運の尽きか始まりか、彼女におちょくられた挙句に包拯に心服し、その下で働くことになる。

趙 虎:李 飛
 張龍の義弟。気が短い。張龍の妻に預けっぱなしの妹が弱み。以上4人、義兄弟の契りを結んで、仲良く包拯のために尽くしましたとさ。めでたしめでたし。

襄陽王:白楽安
 仁宗の従兄弟だろうか。ひそかに帝位を狙う。包拯を嫌っている。

花公公(花富):公放敏
 廉王府の宦官。包拯らとも親しくなり、いろいろ協力する。


スタッフ
出品人:陳勇、鄭暁龍、胡進軍
総監製:陸瑩、沈明昌
製片人:潘洪業、劉之毅
編 劇:劉毅
導 演:曽謹

主題歌
片頭歌「無愧于心」  作曲:王剛/作詞:向雪懐/主唱:孫楠
片尾歌「只要有你」  作曲:陳頌紅/作詞:陳頌紅/主唱:那英、孫楠

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