北宋の名裁判官・包公あるいは包青天の若き日の物語。科挙受験を目指す青年・包拯がいくつもの殺人事件を解決する推理ドラマだ。史実はもちろん「三侠五義」などの設定を無視しているが、あちこちでネタとして利用もしている。ちなみに後に包拯の片腕となる公孫策はクラスメイトでライバル、展昭はなぜか小坊主(まず釈小龍ありき、だったのだろう)。包拯の決め台詞は「すべての謎は解けた」。いいのか、これ。
包拯は推理こそ天才的(ほめ過ぎ)だが、政治的かけひきには全く疎い。しかし「理」に最上の価値を見出し、他者の思惑に左右されず、真相究明以外のことは考慮に入れない頑固さが持ち味で、将来清官、名裁判官となる伏線にもなっている。主人公以外にも、容姿、家柄、才能すべてが抜きん出ているのになぜか包拯にだけは勝てず嫉妬する公孫策、武術も言動も大人顔負け、だけどやっぱり子供らしく愛らしい展昭など、キャラが立っているのでそれだけでも充分楽しめる。その他、ヒロイン二人に包拯の母、八賢王、龐太師などなどみな個性的で、推理と直接関係ないやりとりも楽しい。
推理ドラマとしての出来については、あまり推理ものを見ない読まない私には判断できない。しかし、途中で殺されてしまうような脇役が冴えない俳優ばかりのため、だんだんと人物を見ただけで推理抜きで犯人の当たりがつくようになってしまった。(2006年7月)
あらすじ
[名揚天下](第1集~第6集)
宋の皇帝に嫁ぐ高麗の郡主の一行が廬州に滞在するが、花嫁を送る使者である高麗の皇太子とその弟が、密室で次々と殺される。思いがけない事態にうろたえる廬州府尹に頼まれ、包拯と公孫策も事件の捜査に加わり、凌楚楚と出会う。やがて高麗との開戦の危機に、八賢王や龐太師までもが廬州に……。そもそも高麗から開封へ向かうのに、なぜ廬州(安徽省合肥)を通るのかが最大のナゾ。
[血祭壇](第7集~第12集)
天鴻書院の性格の悪い優等生・展俊が殺された。その弟・展昭は兄の仇を討とうと開封から帰郷する。調査の最中、包拯らは裏山の洞窟で少数民族の祭祀場の跡を発見。そこにあった塑像と同じやり方で、次々と関係者が殺される。
[隠逸村之謎](第13集~第18集)
科挙受験のために開封へ向かう途中、包拯と展昭は楚楚の故郷の村に立ち寄る。そこでは外界と往来のない山中に、6家族が住んでいた。楚楚は叔父が殺され、父が失踪した事件を調べてほしいと包拯に頼むが、第二、第三の殺人が起きる。殺人には20数年前の事件がからんでいるらしい。そして最終話への伏線も。龐飛燕が初登場。
[殿前揚威](第19集~第24集)
開封での試験の最中、受験生が連続して殺された。仁宗は包拯に、三日以内に事件を解決するように、できなければ罪に問うと言い渡す。謎解きとは別に、状元を目指す受験生たちと周囲の人々のドタバタも見もの。しかしこのドラマに限らないが、科挙の試験ってこんな適当なやり方じゃないはず。
[五鼠閙相国](第25集~第30集)
廬州へ帰る前に、包拯たちは展昭が修業する相国寺に立ち寄る。そこに展昭の天敵である五鼠と名乗る浮浪児5人組が待ち構えていた。そして新住職が選出される前日、候補の僧侶がナゾの死を遂げ、展昭は五鼠の仕業と思い込む。さらに展昭の師匠である住職もが密室で死んだ。それなのに肝心の包拯は病で頭も体も働かず。
[魔法幻影](第31集~第34集)
廬州へ帰途、包拯、楚楚と別れた公孫策、飛燕、展昭の三人は、雑技団一行と知り合うが何やらいわくありげな様子。一行と同じ村に滞在したところ、団員が殺され、今回は公孫策が一人で謎解きに挑む。……だからぁ、西域から開封への途中に、なぜ廬州の近くを通るの?
[翻龍劫](第35集~第40集)
八賢王が殺人罪で処刑されると知った包拯らは開封にとって返す。仁宗にどこでも出入り自由となる「金牌」を与えられ、八賢王の無実を証明すべく奮闘するが、宮廷内部のことだけに思うように調査は進まない。包公ものと言えばはずせない「狸猫換太子」をネタにした物語。
登場人物&キャスト
包 拯:周 杰 | |
公孫策:任 泉 | |
展 昭:釈小龍 | |
包夫人(沈氏):鄭佩佩 | |
凌楚楚:李冰冰 | |
龐飛燕:劉怡君 | |
八賢王:陳道明 | |
龐太師:王絵春 | |
仁 宗:賈致剛 |