銭王

全20集/2002年

 清末の大商人・王熾(1836~1903)の一代記。雲南の貧しい村・十八寨で生まれた王熾は、幼い時に父を失い、一族の争いから追われるように村を出、母親が持たせてくれた装飾品を売った金を元手に商売を始める。やがて「天順祥」の商号で店を構え、「同慶豊」銭荘を国内外に展開、やがて雲南一、そして世界有数の大富豪になる。
 ゼロからのスタートで才能と努力で大富豪にという物語は、今の中国社会にアピールする題材なのだと思う。だがドラマはただのサクセスストーリーではない。王熾のモットーは「以德経商、以德治国」である。商売は信用第一はもちろんのこと、科挙を受けに行く金のない若者に資金援助し、八カ国連合軍の北京侵攻の際には貴重な文物を隠し、中仏戦争では巨額の軍費を出す。敵の罠には正面から立ち向かい打ち破る。ドラマ全体を通して「よい商人であるためには正しい人であれ。儲けた金は世のため人のためお国のために使え」というわかりやすいメッセージ。中国中の企業家にお手本にしろと言っているのだ、きっと。また、フランス資本の侵略(?)を阻止した王熾に2001年のWTO加盟による外国資本との戦いを重ねていることは間違いないだろう。
 映像が美しいが、凝りすぎて話が分かりにくいところがあったのが難点だ。監督・撮影は「神鵰侠侶」の于敏。必要以上に映像に凝るのは今に始まったことではなかった。正直、最初のうちはどうなることかと思ったが、後半はなかなか盛り上がり、王熾のピンチに手に汗を握らされてしまった。アクション・スターの于栄光が出演とともにプロデューサーを兼ねているのも話題。(2006年4月)

登場人物&キャスト
王 熾:趙文瑄(ウィンストン・チャオ)
 とにかく立派な人というしかない。趙文[王宣]を「宋家の三姉妹」以来久々に見た。いつの間にかヒゲも辮髪も似合ういいおじさまになっていた。

巴 力:于栄光(ユー・ロングアン)
 彝族の旅商人。素人の王熾を助けて商売を教えた。王熾に命を救われ口がきけなくなってからは、王熾の下で働く。

李西来:傅小源
 王熾の幼馴染。ともに村を出て王熾の片腕となって働く。子供の頃から李蓮yunに片思いをしている。

王 母:隆曰娜
 王熾の母。

張春娥:徐 揚
 王熾の第一夫人。近くの村の出身で王熾の母親が気に入って縁談をまとめた。子供ができないため、李蓮yunを第二夫人に迎えるよう姑に提案するなど「良妻」の鏡。

李蓮蕓:傅 衝
 王熾と李西来と幼馴染。子供の頃から王熾が好きで、王熾の母と春娥の肝いりで第二夫人に迎えられるが……。なんだかひどい一生だ。

李香霊:何 琳
 役人の娘。王熾と知り合い意気投合し、身分も暮らしの差も第三夫人であるのもかまわず嫁いでくる。夫の危機を救うため、北京で西太后に直訴するなど、いざとなると行動派。

姜 庚:修 革
 王熾の母方の年の離れた従兄弟。十八寨の村長(?)だが、影で旅の商人を襲うという悪事を行っていた。これを目撃した王熾を殺そうとし、十八寨を追われてから再び王熾を襲うが、巴力に返り討ちにあって死ぬ。

梁紅女:呉 冕
 姜庚の妻。息子を誘拐したのも夫を殺したのも王熾の仕業だと誤解し、復讐の機会をうかがう。

趙雲海:袁 苑
 父親を姜庚に殺され、復讐のために十八寨を襲う。姜庚に傷を負わされ隠れていたところを少年時代の王熾に救われる。後々まで友として王熾を助ける。

潘徳貴:高 明
 大商人だったが、王熾をだましかえって身を滅ぼす。王熾を逆恨みし、復讐を計画する。

姜勝武:陳 龍
 姜庚と梁紅女の息子。幼い時に趙雲海に誘拐されて豚小屋に放り込まれていたところを王熾に救われる。しばらく王熾が面倒を見ていたが、梁紅女が連れ去った。それからは母親に王熾への復讐を叩き込まれ、ゆがんだ性格になってしまった。潘徳貴の復讐計画の一環として王熾の店に入り込む。

王鴻圖:王 寧
 王熾と李香霊の息子。

王小妹:霍思燕
 王熾の娘。罠とも知らず姜勝武に本気で恋してしまう。

慈禧太后:斯琴高娃
 出番はちょっとだが、斯琴高娃は相変わらず貫禄充分。

小王熾:小叮当
 小叮当は有名子役。「神鵰侠侶」でも楊過の子供時代を演じている。

スタッフ
総顧問:王天霊
策 劃:汪固輝、武小川
総策劃:趙金、楊光成、白成亮、陳霖
監 製:馮驥、馬潤生、蒋高鈴
製作総監:于榮光
製片人:程春麗、張林林、于榮光、韓援朝
責任製片:李長江
責任編導:于振鐸
総編劇:鐘源
美術設計:路易
作 曲:趙季平
総製片人:蒋暁栄
出品人:高建民
導演・撮影:于敏

主題歌
片尾歌「天下得平安」  作曲:趙季平/演唱:劉歓

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