龍非龍鳳非鳳

全30集/2006年

 タイトルは「龍は龍にあらず、鳳は鳳にあらず」と読んでいいのだろうか。龍ならざる龍=光緒帝、鳳ならざる鳳=西太后の対立を軸に描かれる宮廷劇プラス恋愛劇。背景に日清戦争の敗北があり、新法派と守旧派の争いがストーリーの中心になるものの、まあまあ気軽な娯楽作。今ひとつドラマに締まりがないように感じるのだが、監督が二人なのが影響しているのだろうか。
 主人公は光緒帝の叔父(?)である奕玝(林永健)。ほとんど唯一の光緒帝(張黙)の味方である。しかし正義感は強いがお調子者で、何より政治的センスはゼロ。朝廷を牛耳る世鐸(張国立)を敵にまわし、西太后(鄧婕)の不興を買って、爵位を剥奪され平民に落とされる。しかし、それで大人しくなるどころか、光緒帝のためにますます活躍(あまり役には立っていない)。その一方で、夫人がいながら若い娘に恋をしてと大忙し。
 林永健は悪くはないが、少々地味というか、もう少しパンチが欲しいというか。申し訳ないが、張国立が演じていたらもっと面白かったのではないかと思ってしまう。
 その張国立は悪役に回っている。息子の起こしたとんでもない事件に怒り嘆く様子には、嫌でも張黙打人事件(2003年、中央戯劇学院在学中の張黙がGFの童瑶を殴って怪我を負わせた事件。当時はかなりの大ニュースだった。)を思い出してしまった。そして西太后と光緒帝の間に常に流れる気まずい雰囲気に、実際になさぬ仲である鄧婕と張黙の関係をめぐる過去のゴシップなどを思わず連想してしまう。この一家共演、よかったのか悪かったのか。
 主人公が皇室から民間に落ちたギャップ、そして市井にあるという設定が充分に生かされているとは思えないのが残念だ。とりわけ新居の近隣の人々が、一癖も二癖もありそうな人たちが揃っていた割には物語にあまり絡んでこなかったのが少々期待はずれ。
 光緒帝のヘタレっぷりには、応援する気も同情する気も起きない。張黙の演技もまだまだ甘い。悪役だけどやっぱり張国立と鄧婕がいいよ! 鄧婕も皇太后などよりも、もっと普通のおばさん役のほうが似合う気がするけれど……。(2007年10月)

あらすじ
 皇族の奕玝は光緒帝と仲良しだが、世鐸の息子が人を死なせた事件をあくまで追究して世鐸の憎しみを買ったことから、爵位と財産を失う。南城の質素な家に転居した奕玝は、世鐸らが民を苦しめているのを知り、ますます憤る。ある日、政治改革を志す青年・文海澄と出会い意気投合し、光緒帝に紹介。やがて光緒帝は文海澄を取り立てるが、西太后・世鐸らとの対立はいっそう激化。一方、奕玝は説書芸人の朱簾秀に惹かれていくが、文海澄も彼女を愛するようになる。……

登場人物&キャスト
奕 玝:林永健
 皇室の一員。「奕」がつくので道光帝と同輩なのだろう。光緒帝に「老叔」と呼ばれ慕われている。新法派に協力するのは、その主義主張を理解したわけではなく、単に西太后や世鐸らを排除して光緒帝に思いのままに親政してほしいだけなのだが。夫人との仲はよいはずなのに朱簾秀にのぼせていまい、家の外でも内でもトラブルを起こす。

世 鐸:張国立
 礼親王。軍機大臣のトップだが、西太后にゴマをするばかり。もともと奕玝とは嫌い合っていたが、息子が起こした事件をきっかけに、奕玝を憎むようになる。

慈 禧:鄧 婕
 西太后。なかなか実権を手放そうとせず、光緒帝を押さえつけている。世鐸がお気に入りでいつも丸めこまれている。

朱簾秀:鄭家楡
 説書芸人(講談師?)。山西は大同府の役人の娘だった。不幸な境遇にあってもプライドが高い。不正の濡れ衣を着せられて死んだ父の無念を晴らすために、上京してきていたが。

光 緒:張 黙
 一人の時は威勢がいいが、いざ西太后の前に出ると何も言えず、その後は近くの人や物に八つ当たり。

淑 美:蕭淑慎
 奕玝夫人の妹。元気者で武術が得意。文海澄に一目惚れ。可愛いけれど、お飾りでしかないキャラ。

文海澄:徐 箭
 路上強盗に襲われたところを淑美に救われ、奕玝と知り合う。光緒帝に気に入られ、新法の実現を目指そうとするが。朱簾秀を愛する。

奕玝夫人:石 琳
 トラブルブルメーカーの夫の手綱をうまくさばく、良妻の鏡。若いヒロインもいいが、彼女もステキだ。こんないい奥さんを粗末にしたらバチが当たるぞ!

徳 貴:鐘衛華
 奕玝家の召使い。淑美に片思いしている。

赫 昌:劉 勇
 たぶん皇族、でも世鐸の手下。こいつを筆頭に、世鐸の手下は無能者が多いような。

李蓮英:翟 軍
 西太后おつきの宦官。

寇連材:侯 彬
 光緒帝のおつきの宦官で忠義一筋。宮中と奕玝の家を行ったり来たりで忙しい。

頼 欣:張少卿
 世鐸のバカ息子。街中で馬車レースをして死者を出すという事件を起こす。世鐸が手を打つも空しく、奕玝にあくまで追及され、ついに死に追いやられるが。

朱媽媽:孫夢泉
 朱家の召使いだったようだが、表向きは朱簾秀の母親ということにしている。

スタッフ
出品人:楊偉光
総監製:尹廉釗、張暁愛、劉衛、王春莉、陳華、張暁捷
監  製:呉華、林暁喬、陳欧、智広平、賈暁虎
執行監製:任仲倫、鄒静之、楊徳鍵、梁生輝
策  劃:孫剣涛、呂梁、方旭、武京喜
総製片人:尹廉和、丁剣
製片人:鄧婕、徐浩
執行製片人:馬保華、汪海林
編  劇:汪海林、閻剛、高大勇
撮  像:劉飆、呉水興
美  術:魏風、楊代平
音  楽:章紹同、君利
録  音:王先涛
剪  輯:楊暁英
製片主任:劉志雪
導  演:張国立、丁仰国

主題歌
片頭歌「做個義薄雲天的好児郎」  作詞:汪海林/作曲:章紹同/編曲:鄭君勝/演唱:韓磊
片尾歌「風月天辺」  作詞:汪海林/作曲:章紹同/編曲:鄭君勝/演唱:衛越

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