雍正(唐国強)が即位して半年。しかし八爺(王絵春)の権勢はまだまだ強く、しかも江南の税収を八爺に不正に持って行かれ、国庫は空っぽ。西北で反乱軍鎮圧のため大軍を擁する年羹堯(杜志国)からは軍費を矢の催促、しかも増長した年羹堯に離反の恐れあり。江南と西北の問題に挟まれて苦しむ雍正と十三爺(王輝)は、難題の解決を李衛(徐崢)に委ねることになる。
まずは江南の税収をめぐる不正を暴くため、四品(前作の揚州知府は五品だったので、出世した)の江南織造に任じられた李衛は蘇州へ赴く。しかし八爺の手下である江南の役人たちの中には、揚州知府時代にやり合った相手もいて、李衛を陥れようと手ぐすね引いて待っていた。李衛は太湖の漁幇や果親王(孫宝光)の助けを借りて、苦労のすえ八爺らの不正の証拠を押さえ、一味を一網打尽にする。しかし政治的な理由から、手柄を立てたはずの李衛がかえって罷免されてしまう。
ショックを受けた李衛はいったんは官を捨てようとするが、十三爺に説得されて、再び四爺のため、天下の民のために働くことを決意する。しかし次に命じられたのは、年羹堯のお目付け役。四爺のため、天下の民のためにしたはずが、兄弟分だった年羹堯に自ら引導を渡すはめになる。
続編は出来が落ちるのが普通だが、これはなかなか悪くない。李衛は役人ぶりがすっかり板についてしまったが、軽妙な演技は健在。何より李衛が一心に四爺のため、世のため人のため不正に立ち向かっていく姿勢が、爽やかで気持ちがいい。ただし、ドラマ後半の年羹堯始末の部分は、悪いヤツらをやっつけるという爽快感がなく、脇の悪役も含めて魅力が乏しくなったのは残念。それに人の弱みを握って脅して言うことをきかせるというやり方は、ヤクザ同然だよ。コメディタッチなのが救いだが。まあ李衛はもともとチンピラなんだけど……。
「雍正王朝」以来のキャラを含む主要人物が、演じる俳優ともども続投なのは嬉しい。ただ、李衛の母を除くヒロイン陣はキャスト交替。前作と比べてどちらがよいかは好みの問題だろう。新キャラの果親王(この俳優さんは前作で悪役を演じていた)も面白い。(2009年5月)
あらすじ
江南織造に任じられた李衛は、十三爺から「いつか役に立つ。決して失くすな」という言葉とともに高価な板指を託されるが、すぐに盗られてしまう。そのまま乞食に化けて蘇州入りし、さっそく不正徴税の現場にぶつかるが、そこへ現れたのが偽者の李衛。正体は太湖漁幇の幇主の娘・飛燕で、板指を盗んだ張本人だった。これが縁で李衛は漁幇の協力を得る。また、弾劾された李衛の調査のため欽差としてやって来た果親王も、暗に李衛を支援してくれる。やがて、「論語」を装った不正帳簿を7人の役人が分担して所持していることが判明。危険を感じた八爺は、帳簿を処分するため年希堯を派遣するが、年希堯は年羹堯の兄であり、八爺の使命だけでなく、弟の軍費の捻出も目論んでいた。李衛は年希堯を味方につけ、十三爺の板指も役立て、ついに八爺一派を逮捕する。しかし、年羹堯の離反を畏れる雍正は年希堯を釈放、逆に李衛を罷免する。李衛はいったんは官を捨てようとするが、十三爺に説得されて翻意。しかし次に命じられたのは、理由をつけて戦おうとしない年羹堯を戦わせるという難役だった。李衛は年羹堯の変わりように当惑する。……
登場人物&キャスト
李 衛:徐 崢
読み書きはそこそこ出来るようになり、役人ぶりもすっかり板についた。本作では江南織造、続いて軍前襄辦となる。
岳思盈:孫菲菲
今では李衛の妻となっている。内助の功を発揮しているようだ。亡き父・岳子楓が実は八爺派だったらしいことが分かり苦悩する。
李 母:李小燕
李衛の母。相変わらず息子の足を引っ張る言動が多い。
岳小満:楊昊飛
岳思盈の弟。李衛の手足となって駆け回る。前作より大きくなったが、相変わらず可愛いくて演技が達者。
石 榴:舒 暢
小間使いのまま。一人だけ西北に連れて行ってもらえなかったのは、撮影の都合なのだろうか。
雍 正:唐国強
ドラマ冒頭では即位して半年ほど。李衛を可愛がっているようだが、同時に難題を押し付けまくる。
允祥(十三爺):王 輝
怡親王。すっかり病身になってしまった。冷徹な雍正よりも、李衛を気遣ってくれている。
年羹堯:杜志国
西北撫遠大将軍。独立しようという野心を持ち、雍正に従わなくなりつつある。
允祀(八爺):王絵春
廉親王。皇位は逃したものの、雍正の立場を脅かし続ける。
允[示唐](九爺):苗海忠/允[示我](十爺):劉 魁
変わりなし。
果親王:孫宝光
康煕の弟。雍正らの叔父。李衛が収賄罪で弾劾されると、調査のため欽差として蘇州に派遣される。遊び好きでおバカな年寄りと評判だが、実は李衛を助けてくれる。
任南坡:李 屹
顧盼児を連れてフラフラ遊び歩いているようだが、雍正、十三爺への協力を続けており、李衛が困った時には助けに現れる。
顧盼児:譚小燕
落籍したのか、常に任南坡とともにいる。
飛 燕:李家逸
江南老爹の娘。李衛から板指を盗んだのが縁で知り合い、李衛に協力する。
江南老爹:李慶祥
太湖の漁幇の幇主。李衛に協力するようになる。岳思盈の父・岳子楓の元にあった八爺らの不正帳簿を持っていた。
閔靖元:王躍晋
江蘇巡撫。八爺の手下。以前、江南道御史、両淮巡塩史として、揚州知府だった李衛とやり合った。岳子楓の弟子で、思盈とも昔からの知り合いだという前作と矛盾する設定が加わった。
福 桐:趙 雍
両江総督。八爺の手下。前作では江蘇巡撫だった。江南の八爺派の親玉。
年希堯:任仕一
八爺の手下。年羹堯の兄であるため警戒され仲間に命を狙われたことと、弟の軍費を調達するため、結局は李衛に協力する。
葉 児:李艾佳
はじめ陝西布政史の妾。八爺への恩返しのため動く。年羹堯の息子や腹心を手玉にとり、年羹堯をも篭絡しその妾に納まる。
スタッフ
出品人:宋錦繍、蘇斌
総監製:周文彰、李徴、徐荘、王広群、李暁楓、王月仁、李剛、楊国釣、馮晨、周紹成
総製片人:周偉思、蘇斌、丁道明、顧令陽、石暁楠、黄翔
総策劃:洪寿祥、蒋政江、李森池、陳正明、張少輝、李培明、陳序
監 製:林光強、魯東章、楊揚、安琪、張承東、荘学軍、楊晨光
策 劃:蒋選斌、寧麗珍、唐麗莎、韓巧萍、朱権、王珂、范里雁
導 演:周視都、徐崢
編 劇:尚志発、張青野、丁三
劇本策劃:蘇斌、秦剛、黄明雨
顧 問:馮建文、鄭煕亭、袁大川、梁萍
撮 像:周海軍、簡文斌
美 術:王鉄力
剪 輯:顧国良
録 音:張敏
主題歌
片頭曲「一路行天下」 作詞:易茗/作曲(民歌による編曲):雷蕾/演唱:?