橘子紅了

全25集/2001年

 李少紅監督らしい、繊細かつねっとりした心理劇。
 夫の留守宅を守る第一夫人(帰亜蕾)の肝いりで、第三夫人として容家に入った少女・秀禾(周迅)。彼女の出現が容家の人々の関係を次第に変えていく。
 第一夫人と秀禾は纏足をしている。この纏足に象徴されるように、新しい時代や思想の洗礼を受けた六爺(黄磊)、その婚約者・嫻雅、従妹の宛晴らと同世代の若者であるはずの秀禾が、一人だけ旧時代に取り残されているようで最初は痛ましく見える。しかし封建家庭に虐げられる悲劇のヒロインかと思った秀禾が意外にもよい意味でしたたかで、不幸に押しつぶされることなく少しづつ変わっていく。それが一家の人々にも影響を与えるが……。
 常々不思議に思っているのだが、この手のお話に必ず登場する、封建体制に反発する新青年、このドラマでは宛晴や古沛帆が代表だが、こういった若者たちの言動が案外安っぽく見えてしまうのは何故だろう? 新旧どちらにもなりきれない六爺には少々イライラした。
 舞台となる容家のお屋敷の場所がはっきり明かされていないが、杭州に比較的近いこと、家屋の様子からすると安徽省南部だろうか。この地方独特の彫刻に飾られた美しい木造家屋が、それだけで見もの。葉錦添(ティン・イップ)による衣装も美しい。これらを生かした、江南らしいしっとりとした画面の繊細な美しさ、きめ細やかな演出、そして主演陣の演技は一見の価値がある。(2007年4月)

あらすじ
 本宅で夫の留守を守る第一夫人は、杭州の第二夫人・嫣紅から夫を取り戻そうと、自分の若い頃とそっくりな少女・秀禾を第三夫人として家に入れ、跡継ぎを生むよう要求する。しかし、主人の弟・六爺と秀禾はお互いに密かに思い合う。……

登場人物&キャスト
大  媽:帰亜蕾   容家の第一夫人。夫の留守中、本宅とみかん畑を守っている。
大  伯:寇世勳   容家の主人。ふだんは杭州に住んで仕事をし、本宅にはたまにしか帰らない。
輝  輝:黄  磊   六爺。容家の主人の年の離れた弟。
秀  禾:周  迅   容家の第三夫人になる。
嫣  紅:賈  妮   杭州にいる第二夫人。
宛  晴:沈  暢   六爺の従妹。
嫻  雅:白  雪   六爺の婚約者。

スタッフ
出品人:崔屹平、韓三平
総監製:劉俊傑、宋振山、高成生
策  劃:解植坤
製片人:李暁婉、譚湘江
原  著:琦君
改  編:夏美華
編  劇:鄭重、王要
責任編輯:于振鋒
撮影指導:曾念平
造型服装設計:葉錦添
導  演:李少紅

主題歌
片頭歌、片尾歌  作詞・作曲:曲波/演唱:周迅

上 へ   電視劇一覧   トップページ