先年、中国旅行中にたまたまテレビで予告編を目にし、主演の范冰冰のあまりの美しさに、「見たい! たとえつまらなくてもいい!」と思ったのだが、見てみると本当につまらなかった。
時は北宋末期、徽宗の愛娘・婀娜公主の恋に、蔡京暗殺計画が絡む。
范冰冰をはじめとする女優陣は美人が揃っているうえ、宮廷ファッションも美しく(肩と胸が開きすぎなのが気になるが)、目の保養だ。しかし男優陣はレベルが落ちる。だいたい超絶美貌のヒロインの恋の相手があれでは、どうも物足りない。
後半は舞台を福建に移し、烏龍茶や伝統の人形劇など当地の風物を取り入れているのには工夫を感じる。なんと鉄観音誕生ものがたりまであった。とはいえ、見終わっての感想は「范冰冰の美貌だけがとりえのドラマ」だ。(2006年5月)
あらすじ
徽宗の愛娘・婀娜公主は若き翰林学士・譚義を愛するが、譚義は蔡京暗殺をはかり指名手配される。同じ頃、西夏の王子・李天吉は宮女の紫竹を婀娜公主と勘違いし、恋してしまう。西夏に嫁ぐことになった婀娜公主は、紫竹を連れて宮中を抜け出し、譚義を追って彼の故郷である閩南(福建)の安渓へ向かう。しかし安渓には、譚義の許婚の花渓女がいた。婀娜と渓女は譚義をはさんで恋のつばぜり合いを繰り広げる。一方、譚義らは安渓にやって来る蔡京を暗殺しようとするが、蔡京は譚義をおびき出す計画だった。
登場人物&キャスト
 | 婀娜公主:范冰冰
徽宗の末娘。両親に目に入れても痛くないほど可愛がられ、のびのびと育った。譚義を愛し、西夏の王子との結婚を拒んで宮中を逃げ出す。いったんは袖にされようと、相手に許婚がいようと、思い込んだら命がけ、譚義を一途に追っていく。 |
 | 譚 義:李 解
5年前に状元になり、翰林学士となる。仲間とともに蔡京暗殺を計画している。学問はできるのかもしれないが、煮え切らない性格で、こんな人が大事を成せるとは誰が信じられようか。李解は、面白くない。この人は「笑傲江湖」といい「塵埃落定」といい、フツーでないキャラを演じたほうがうまいのかもしれない。 |
 | 蔡 京:劉文治
「水滸伝」でおなじみの四大奸臣の一人。福建出身で、大のお茶好き。譚義ら暗殺計画の一味を一網打尽にしようと自ら連中をおびき寄せる囮となり、「茶王大賽」(4年に一度のお茶の品評会)に出席するために安渓にやってくる。このドラマでは、なんと死ぬところが見られます。 |
  | 宋徽宗:高 亮/皇 后:劉熊鶯
婀娜公主の両親。徽宗はこれも「水滸伝」でおなじみ、北宋を滅亡に導いた芸術家皇帝。このドラマでは梁山泊の連中が暴れていることがちらっと語られている。婀娜公主を非常に愛し、いなくなってからは心配のあまり病気になる。 |
 | 花渓女:陳雪菲
譚義の許婚。連座して殺された譚義の両親の葬儀を行うため、譚家の嫁となる。譚義本人がいないので、人形と婚礼を挙げたのだ(これってありなのか?)。それなのに気の毒にも、譚義には婚約の記憶がなかった。婀娜と同じく思い込んだら命がけタイプ。二人で譚義をはさんで恋の火花を散らす。 |
 | 蔡 勇:金盛宇
蔡京の養子。蔡京にとって邪魔な人間を殺すのを専門にしている。蔡京に譚義殺害を命じられ、譚義を探すため、道中婀娜にうまく取り入る。しかし安渓で実の母親と再会し、なんと蔡京こそが親の仇と知る。最後はあっけなくて、肩透かしもいいところ。 |
 | 李天吉:尹君正
西夏の王子。婀娜公主と勘違いして紫竹に恋する。婀娜公主が恋人を追って逃げ出したと聞き、恋敵と勝負しようと後を追ってくる。身分を隠して婀娜と紫竹に近づき、影に日向に二人を助けるが、いつまでたっても勘違いに気づかない。二人の言動を見ていれば、どちらがどちらか分かりそうなものだが。 |
 | 紫 竹:張 鏑
婀娜公主に仕える宮女。婀娜に従って宮中を抜け出し、ともに福建までを旅する。しっかり者だが幼い頃から宮中にいたので、主人ほどではないがやはり世間知らず。婀娜の恋を成就させるために協力を惜しまない。次第に李天吉に惹かれていく。 |
 | 陸 桐:史 奕(左)/柳文進:趙希鑫(右)
譚義の義兄弟、蔡京暗殺計画の一味。柳文進は染物屋の三代目で、一番の知性派(翰林学士よりもだ)。陸桐は何をしている人だろう? 二人とも最初は譚義につきまとう婀娜公主を苦々しく思うが、彼女の一途な思いに次第に心を動かされる。 |
 | 慕容公主:楊 梅
婀娜公主の姉。妹と違って、常に常識と身分をわきまえた言動をしている。しかし、婀娜の訴えに心を動かされ、宮中を逃げ出すのに手を貸してしまう。そのため罰として寒思院に幽閉される。 |