漢の武帝の若き日を描く。
出演者のトップに陳道明の名があったので、てっきり彼が武帝を演じる重厚な歴史ドラマを期待していたら……。始まったとたんに騙された気分になった(いや、私が勝手に早とちりしていただけなのだが)。陳道明は東方朔だった。冒頭、晩年の武帝の回想から始まるのだが、この武帝、髪とヒゲは真っ白なのに、お肌はツヤピカのまま。このあたりまででドラマのテイストがほぼ想像できる。史実は基本的に無視、ドラマの展開にもつっこみどころ満載、セットや家具調度、台詞にも「こんな時代にこんなものがあるかい!」ってものがいっぱい。例:木簡で読み書きしているのに、なんで紙製の提灯がぶら下がってるんだ! 製作に1800万元もかけたらしいし、一見豪華そうに見えるのに……。
物語は、能天気でワガママなお坊ちゃま皇太子・劉徹が、危機を潜り抜けて即位、祖母の竇太后との政争や皇位を狙う陰謀との戦いを経て一人前の皇帝に成長していく。皇太子時代の仲間との友情とその末路、恋愛、武帝を取り巻く人々の人間模様などなど、サービス満点。登場人物がものすごく多いが、みんなちゃんとキャラが立っているので、なんのかんの言いつつも楽しくはまってしまった。歴史を借りた青春ドラマだと思えばいい。しかし、あのラストはなー。2に続くのは分かるけれど。中国のドラマってラストがあっさりしていることが多いけれど。ちょっとびっくり。
劉徹を演じた黄暁明は、このドラマでブレイクした。主人公をはじめとする若手俳優たちを、陳道明、陳莎莉というベテラン勢が支える。いや、この二人がいなかったらどうなっていたか、という気もする。プロデューサーに関錦鵬(スタンリー・クアン)の名があるが、名前だけだろうな、たぶん。(2006年3月)
あらすじ
皇太子・劉徹は、取り巻きの張湯、郭舎人、灌夫、李陵とともに宮中を抜け出し、山東の厭次に遊びにくる。そこで、文字占いの東方朔、歌妓の念奴嬌と出会う。そのころ宮中では景帝が死に瀕し、竇太后が皇太子を廃して梁王(景帝の弟)を皇帝にしようと画策中。梁王は厭次でのトラブルを利用して、劉徹を亡き者にしようとする。一連の騒動の中で、劉徹は仲間たちと義兄弟の契りを結ぶ。劉徹の危機を救うため一足先に長安に戻った張湯は、廃太子の陰謀に気づき、劉徹の姉の平陽公主と許婚の陳阿嬌も協力して劉徹を助ける。やがて陰謀を制して即位した劉徹だが、権力を手放そうとしない竇太后と要職を占める竇一族のために、何ひとつ思い通りにならない。東方朔を軍師として招こうとするが、東方朔はなんと竇太后の招聘を受けてしまう。……
登場人物&キャスト
劉 徹:黄暁明 | |
東方朔:陳道明 | |
念奴嬌:賈静雯 | |
竇太后:陳莎莉 | |
平陽公主:陳莎莎 | |
衛子夫:王 霊 | |
陳阿嬌:何嘉儀 | |
李 陵:劉冠翔 | |
張 湯:張明健 | |
郭舎人:劉瀟瀟 | |
灌 夫:賈宏偉 | |
秋 嬋:劉怡君 | |
衛 青:宋大光 | |
竇 嬰:宋小川(友情出演) | |
梁 王:姚 剛 | |
館陶公主:謝金天 | |
王皇后(太后):徐 琳 | |
張 騫:趙正陽 | |
李 広:遅国棟/李 敢:喬 杰 | |
淮南王(劉安):孫飛虎(友情出演) | |
劉 陵:商 蓉 | |
雷 被:張 晗 | |
老侯爺(劉信):修宗迪(友情出演) | |
劉 義:李大昕 | |
霍去病:徐 靚 | |
曹 寿:孫 浩(友情出演) | |
司馬遷:李晟毓 |