包公生死劫

全21集/2001年

 包公は64歳。「少年包青天」なら理解できるが、「老年包青天」とはなんだか不思議なセンスだ。夫人や妾が出てくるのも珍しく、たぶんこれまでと違う包公像を目指して、リアリズムっぽくしてみたのだろう。しかしやっぱり黒い顔で額に三日月があるので、ちぐはぐな印象。展昭も老けているのは嬉しくない。初めて見たよ、かっこよくもなんともない展昭……。ついでに、王朝が死ぬのも初めて見た。包公が龐太師に始まって何人もの太師を失脚させてきたらしいことが台詞にあったが、シリーズものだったのだろうか。
 それにしてもこの包公、呉太師の悪事を暴こうという情熱は分かるが、硬骨漢というより分からず屋のような印象で、素直に「正義の味方」と思えない。仁宗にすっかり煙たがられているが、それも当然と思える。しかも事件の捜査は後手後手に回り、犠牲者を増やしている。どうにも見ていてすっきりしない。
 一番引っかかったのは、妾の于氏への仕打ち。于氏が何かのお礼にと持ってこられた金品を押し付けられてつい受け取ってしまうと、「賄賂を受け取る者は家に置いておけない」と、弁明も聞かず、皆が止めるのもきかずに追い出す。それだけなら、まだいい。その後妊娠していたことを知ると喜んで即座に呼び戻そうとするのだ。納得できない。とにかくすっきりしない包公であった。
 包公、仁宗、呉太師は、それぞれ「三国演義」の曹操(鮑国安)、諸葛亮(唐国強)、司馬懿(魏宗万)が演じていて、このドラマの売りだったらしい。(2006年7月)

あらすじ
 河東の軍資金百万両が行方不明になる。横領したのは呉太師だが、張尭佐が罪をかぶって逮捕される。包公は背後に黒幕がいると睨むが、妻と娘に累が及ぶのを恐れた張は口を割らない。が、いざという時のために呉太師の罪の証拠を妻に預けていた。これを知った呉太師は証拠の品を奪おうとする。さらに河東での調査の最中、展昭が消息を断つ。一方、陳世美の息子の陳少華は包公を父の仇と狙う。果たして包公は呉太師の罪を暴くことができるのか? 

登場人物&キャスト
包 公:鮑国安
 黒いドーランが似合わない……。

宋仁宗:唐国強
 バカ皇帝と言えば言いすぎだし、まあごく普通の皇帝なんだろう。しかしあの皇后だけはどうにかしろ。

呉太師:魏宗万
 皇后の父親。包公の敵。罪を張尭佐にかぶせ、邪魔な包公の命も狙う。息子と張尭佐の娘を婚約させていたが、愛し合う二人の仲を裂こうとする。

皇 后:池華瓊
 呉太師の娘。失礼ながら、こんな品のない皇后は初めて見た。父親に協力して、包公の悪口を仁宗に吹き込もうとする。

呉 端:李宗翰
 呉太師の一人息子。父親に似ない真面目な青年。張尭佐の娘で許婚の張姝娟を愛している。

展 昭:馮進高
 こんなに地味な展昭は初めて見た。どのくらい地味かといえば、王朝、馬漢、張龍、趙虎と並んでも目立たない。

公孫策:夏忠卿
 いつもどおりにいる。それだけ。

陳少春:袁文康
 陳世美の遺腹児。仁宗の甥にあたる。包公を父の仇と信じ、命を狙う。皇后の愛人。

張姝娟:呉 倩
 張尭佐の娘。呉端の婚約者。このドラマで一番不幸な目にあった人かも。

張尭佐:馬玉良
 呉太師の罪をかぶって死亡。妻と娘を助けるための算段も水の泡に。

張夫人:張 晶
 張尭佐の妻、張姝娟の母。夫から呉太師の罪の証拠を預かっており、呉太師に狙われる。

于 氏:毋萌萌
 包公の妾。「賄賂を受け取った」として追い出され、故郷の廬州に戻るが、そこへ赴任してきた呉端に助けられる。

スタッフ
総監製:閻憲奇、李培森
出品人:梁浩泉、王長利、魏平
執行総監製:董智勇
総策劃:潘輝明、張華
総製片人:張世亮、賈暁晨、万栄
編 劇:黎人、冉成淼
編 審:張世亮
製片人:張暁虎
導 演:高林豹(香港)、楠虎

主題歌
 作詞:蘇拉/作曲:許建強、向民
片頭歌「青天何時有」  演唱:満文軍
片尾歌「生死相約」  演唱:陳妃平

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